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1トン級エンジン用新型インジェクタを開発

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インターステラテクノロジズ株式会社は4月27日(水)14時12分、新型インジェクタを用いた推力10kN(約1トン)を有するロケットエンジンの地上燃焼実験に成功しました。本エンジンは、高度100 kmの宇宙空間に到達するためのサブオービタル飛行用ロケットのメインエンジンとして位置づけられています。

3月に開発が完了した推力1トンのエンジンを元に、燃料を噴射するインジェクタを変更した上で15秒の燃焼に成功しました。この新型インジェクタの採用により、推進剤タンクの薄肉化、推進剤消費量の節約、部品点数の減少(約1/10)による製造コスト減、が達成できる見通しです。今後新型インジェクタを用いた開発を行い、サブオービタル飛行用ロケットのメインエンジンとして用います。

燃焼実験結果

推力 9.7 kN (計画値 10 kN)

燃焼時間 15 秒 (計画値 15 秒)

燃焼室圧力 0.98 MPa (計画値 1.0MPa)

燃焼実験および安全確保は予定通り行われ、正常にデータが取得されました。

本実験にあたり、関係省庁のご指導ご理解および大樹町役場より多大なご協力を頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。

PT10k SFT05


補足
当社で3月に推力1トンf、燃焼時間100秒を達成したエンジンでは衝突型インジェクタを採用していました。4月20日から27日にかけて4回行った推力1トンf級エンジンの実験では、ピントル型インジェクタを採用しています。
ピントル型インジェクタについては過去に500kgfまで開発実績(「すずかぜ」メインエンジンなど)があり、また東京大学 津江・中谷研究室との共同で基礎研究を行っていました。27日の実験では、これまでの知見を生かした上で更に構造に改良を加えた新型のピントルインジェクタを使用しました。
実験の結果、3月に開発を完了した100秒燃焼用エンジンと比べ4%以上の比推力向上が見られました。また、インジェクタ差圧は衝突型インジェクタよりも小さく設計したため、必要な推進剤タンクの厚みが減少し、軽量化に繋がります。更に、衝突型インジェクタと比べて部品点数が少ない上に大型化に際してもほぼ変わらないため、製造コストの減少や今後の大型化についても大きなブレイクスルーとなりました。
今後、サブオービタル飛行用ロケットの準備と並行してインジェクタやエンジン全体の改良を加えていき、軌道投入機用メインエンジンのベースとしていく予定です。

 

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