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トヨタ自動車、ウーブン・バイ・トヨタとモノづくりにおける業務提携を開始しました
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ロケット事業と通信衛星事業を通じた宇宙の総合インフラ会社を目指すインターステラテクノロジズ株式会社(本社:北海道広尾郡⼤樹町、代表取締役 CEO:稲川貴⼤、以下インターステラテクノロジズ)は、トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:佐藤恒治、以下トヨタ)およびウーブン・バイ・トヨタ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役 CEO:隈部肇、以下ウーブン・バイ・トヨタ)と業務提携に関する合意書を締結しましたので、お知らせいたします。モノづくり分野での幅広い連携を通じ、強固な製造体制を確立することで、高頻度・低コストで打ち上げられる宇宙輸送サービスを実現します。
インターステラテクノロジズは、観測ロケットMOMOで国内民間企業単独として初めての宇宙空間到達を達成した、日本の民間宇宙輸送のリーディング企業です。世界中で宇宙輸送能力が不足する中、日本政府が目指す国内の打上げ能力向上に資するため、小型人工衛星専用のロケットZERO(以下ZERO)を開発しています。
インターステラテクノロジズとウーブン・バイ・トヨタは2025年1月、資本および業務提携を締結したことを発表。ロケットを一点モノの生産から、高頻度打上げに耐えうる工業製品へと構造変革させるための取り組みを具体化すべく、トヨタを含めた3者で合意書を新たに締結しました。2025年8月よりトヨタから出向者を派遣いただき、ロケットZEROの初号機開発から事業化に向けた取り組みまで、幅広いモノづくり分野において支援いただきます。
また、インターステラテクノロジズはトヨタが長年培ってきたモノづくりの知見や強みを活用することを見据え、「Toyota Woven City(*1)」のインベンターとしても参画しました。開発場所は引き続きインターステラテクノロジズの拠点を中心とします。インベンターに参画したのは、スタートアップ企業としては初めてとなります。
*1 トヨタおよびウーブン・バイ・トヨタが静岡県裾野市で開発する「モビリティのテストコース」
自動車産業のアセット活用を前提とした開発で、高頻度化と低コスト化を実現
日本の宇宙開発は、その市場規模の小ささから、設備投資、人的リソースに大きな制約があるのが現状ですが、今回の提携を契機に、設備や技術、サプライチェーン、人材などトヨタが持つ自動車産業に関わるアセットの活用を前提としたロケット開発を行います。これにより、従来の宇宙業界の常識では成し得なかった開発・製造体制を確立することを目指します。
自社開発エンジン製造で連携
ZEROは一段目に9基、二段目に1基と、計10基のエンジンを備えた2段式のロケットです。エンジンシステムを構成する燃焼器やターボポンプは、インターステラテクノロジズが独自の技術を有しています。特に、燃焼器に推進剤を送り込む”心臓部”であるターボポンプは、ロケットで最も開発が難しい要素の一つと言われ、国内で設計と製造技術を保有する会社はインターステラテクノロジズを含めごくわずかです。トヨタおよび、自動車トランスミッションの量産製造技術を保有し、かねてより連携しているトヨタ自動車北海道株式会社と、初号機に向けた燃焼器やターボポンプを含むエンジン全般の製造に連携して取り組んでいきます。また、原価低減や工期短縮のための工法開発も進め、高い品質と安定した生産体制を両立します。
推進剤タンクの高頻度打上げに向けた工法開発
燃料の液化バイオメタンと酸化剤の液体酸素を貯蔵する推進剤タンクは、強度が高い一方で高度な溶接技術が求められる特殊なアルミニウム合金(A2219)を採用しています。自社で設計し、製缶や試験などの主要工程を自社で行っていますが、機体能力向上に向けた軽量化を目的とする新規工法開発と、高頻度打上げの実現に向けた原価低減、工期短縮に向けたサプライチェーン強化において支援いただきます。
生産体制全般の仕組みを構築
ZEROは初号機打上げに向け、各コンポーネントの製造工程が並行して進んでいます。ロケット1基の製造には約10万点におよぶ部品の管理・供給を行っていく必要があります。自動車業界の知見やノウハウを積極的に取り入れ、高頻度の打上げを実現すべく、生産体制全般の仕組みをトヨタと連携して構築します。